こんにちは!Legalgate編集部です。
司法試験予備試験、及び司法試験の合格を目指している方は法曹三者のいずれかの職に就くことを想定されているかと思います。
そこで今回フォーカスするのは「弁護士」。
日々、どのような業務を遂行しているのか、また「〇〇専門」と謳った弁護士のように一体どのような分野があるのかという点を具体的に掘り下げていきます。
合格後のイメージをより鮮明にしたい方はぜひ最後までお読みくださいね!
目次
弁護士の定義
弁護士には弁護士法に定められた以下の明確な定義があります。
- 司法試験に合格し司法修習を終え、日本弁護士連合会の弁護士名簿に登録されている者
- 訴訟、法律事務をおこなう者(弁護士以外の取り扱いの禁止)
- 法律および弁護士会会則に違反していない者
- 品位を失うべき非行によって懲戒処分を受けていない者
特筆すべきは、弁護士ではない者が報酬を得る目的で、訴訟などの弁護士にのみ認められている行為を繰り返しおこなった場合は「非弁護士行為」として逮捕されてしまう点です。違反が認められた場合には、2年以下の懲役又は300万円の罰金に処されます。
このように、訴訟や和解、もろもろの法律事務は弁護士にのみ認められた特別な業務であることがお分かりになりましたでしょうか。
法治国家である日本において、弁護士は依頼者のために法律を取り扱う特別な専門家。司法試験という狭き門をくぐり抜けた先には、難解な問題解決を生業とするやりがいを感じられることでしょう。
さて、弁護士と一口に言ってもその業務範囲は非常に多岐にわたります。
次の章では、なるべく網羅的に弁護士の業務を一覧化してみました。現在、司法試験の突破を目指している方は、「どの業務の専門家を目指すのか」想いを馳せてみてはいかがでしょうか。
代表的な弁護士の業務一覧
1.民事
(1)借金(債務整理、個人再生、自己破産など)
対応業務:過払い金、任意整理、個人再生、自己破産、消費者金融、時効、取り立て、住宅ローン など
(2)事故(学校、医療、交通事故など)
対応業務:いじめ、医療過誤、医療事故、B型肝炎、示談交渉、後遺障害、慰謝料・損害賠償、交通事故裁判 など
(3)労働(残業代、退職、不当解雇など)
対応業務:ハラスメント、職場いじめ、給料、労働時間、残業、休暇、規則、人事 など
(4)消費者(詐欺、金融商品のトラブル、金融被害など)
対応業務:詐欺、契約解除・取消、悪徳商法、美容健康、金融商品トラブル・被害 など
(5)不動産(賃貸借、登記、抵当権など)
対応業務:賃貸借契約、立ち退き・明け渡し、違法建築・手抜き工事、近隣トラブル、不動産、抵当権 など
(6)民事紛争(民事事件、民事執行など)
対応業務:書面作成、上訴・再審、民事保全・執行、和解 など
(7)債権回収
対応業務:債権受託・回収代行、書面通知、少額債権回収 など
(8)知的財産権
対応業務:知的財産取引・争訟、商標・意匠出願、コピー品対策、ブランド管理、営業秘密保護、不正競争防止、個人情報保護、プライバシー保護 など
2.家事事件
(1)相続(遺産分割、遺言など)
対応業務:遺言書の作成、遺言執行、遺言書の検認、成年後見、任意後見、財産管理、家族信託、相続放棄、限定承認、相続人調査、財産調査、遺産分割協議、遺産分割調停の申立・代理、遺留分侵害額の請求 など
(2)夫婦、男女関係(親権、財産分与、不倫・DV慰謝料など)
対応業務:離婚慰謝料、財産分与、年金分割、養育費、親権、離婚 など
(3)親子、親族、子ども
対応業務:認知請求、嫡出否認、養子・離縁、扶養、財産管理、介護、虐待 など
(4)成年後見制度
対応業務:法定後見、任意後見 など
(5)行方不明、戸籍(無戸籍など)
対応業務:失踪宣告、不在財産管理人 など
3.行政
(1)行政訴訟・救済
対応業務:行政処分の取消訴訟、公法上の当事者訴訟、行政不服申立、国家賠償請求 など
(2)生活保護
対応業務:生活困窮の相談対応、生活保護開始・変更申請、福祉事務所との交渉 など
4.犯罪、刑事事件
(1)刑事弁護
対応業務:犯罪被害者支援、被害者の弁護、犯罪被害者等給付金の申請 など
(2)凶悪犯
対応業務:殺人、強盗、放火、強姦などの弁護
(3)粗暴犯
対応業務:暴行、傷害、脅迫・恐喝、凶器準備集合などの弁護
(4)窃盗犯
対応業務:侵入窃盗、非侵入窃盗、乗り物盗などの弁護
(5)知能犯
対応業務:詐欺、横領、偽造、汚職、背任などの弁護
(6)風俗犯
対応業務:賭博、わいせつなどの弁護
(7)その他刑法犯
対応業務:公務執行妨害、住居侵入、逮捕監禁、器物損壊などの弁護
(8)特別法犯
対応業務:道路交通法違反、軽犯罪法違反、覚せい剤取締法違反などの弁護
5.少年事件
(1)犯罪少年(14歳以上20歳未満)
対応業務:国選付添人、少年保護事件付添援助、更生補助 など
(2)触法少年(14歳未満)
対応業務:付添人、少年保護事件付添援助、更生補助 など
(3)ぐ犯少年(20歳未満の犯罪を犯すおそれのある少年)
対応業務:付添人、少年保護事件付添援助、更生補助 など
6.企業法務
(1)一般企業法務(コーポレート)
対応業務:株主総会、ガバナンス、訴訟対応、社団・財団法人対応 など
(2)M&A
対応業務:M&A、組織再編、買収、アクティビスト、プライベート・エクイティ、ベンチャー支援など
(3)独占禁止法、競争法
対応業務:独占禁止法、競争法、カルテル、談合、下請法独占禁止法、違反防止措置、企業結合審査、民事訴訟 など
(4)労働法(使用者側)
対応業務:アドバイザリー、年金問題、就労ビザ・出入国、訴訟対応 など
(5)金融法務(ファイナンス)
対応業務:キャピタル、バンキング、保険、金融業、コンプライアンス、アセットマネージメント、ファンド、REIT、不動産、ベンチャーファイナンス、証券、航空機・船舶、デリバティブFinTech、金融争訟 など
(6)事業再生、倒産
対応業務:会社更生・民事再生、破産、特別清算、私的整理、リストラクチャリング など
(7)企業刑事法務
対応業務:企業刑事事件予防法務、調査、訴訟対応、官公庁・証券取引所対応、事件後の再発防止策策定、人事処分、告訴対応 など
(8)危機管理
対応業務:コンプライアンス整備、不祥事調査・対応、粉飾決算調査・対応、インサイダー取引調査・対応、相場操縦調査・対応、FCPA調査・対応、贈賄調査・対応、情報漏洩調査・対応、サイバーセキュリティ、事故調査・対応、偽装調査・対応、横領調査・対応、不正調査・対応、内部通報対応、マネーロンダリング調査・対応 など
(9)税務
対応業務:税金対策、税務アドバイザリー、訴訟 など
(10)国際関係法務
対応業務:国際金融法務、国際訴訟、仲裁、国際コンプライアンス、国際倒産、国際税務 など
(11)新規テクノロジーに対する法務
対応業務:デジタルトランスフォーメーション(DX)、プラットフォーム、IoT、サブスク、仮想通貨、ブロックチェーン、電子契約、宇宙、ロボット、AI など
7.公益活動
対応業務:行政との連携、大学・大学院、法科大学院での講師業、その他公益活動 など
弁護士は稼げない!は本当か
「弁護士は稼げなくなった。」こんな意見を耳にしたことは一度ならずあるのではないでしょうか。
実際、至るところでこういった意見を聞くのですが、確かにそう言われてしまう明確な理由が存在します。
まず要因として挙げられるのは「弁護士の増加」でしょう。
- 司法制度改革によるロースクール(法科大学院)の設置
- 司法試験予備試験制度
上記2点の導入により司法試験合格者が増加、弁護士数は事実増加傾向にあります。そのため弁護士人数過多による「需要の減少」という話も理解はできますよね。
また、スマートフォンの普及により誰でも簡単に法律知識を検索できる社会になりました。そのため非弁護士の方でも法律知識を充分に備えているケースが多く、相談に至らないこともままあるでしょう。
しかしながらLegalgateは上記の事実をきちんと理解した上で、「弁護士は稼げない!」を真っ向から否定します。これは特段弁護士に限った話ではありませんが、時代の変化に適応できない、いわば旧態依然とした手法でビジネスを展開していれば稼げなくなっていくのは当然ではないのでしょうか。
例えるなら、スマートフォンが普及しているのにも関わらず、いつまでも紙媒体の地図や目覚まし時計を販売し続け「地図や目覚まし機能の需要がなくなった!」と言っているようなものです。
当然、弁護士も時代の変化に合わせて柔軟に変化していくべきで、稼いでいる弁護士は当然のように対応できています。
- リモートによるオンライン法律相談
- これまで紙で管理していた契約書などをクラウドで一括管理
- AI、仮想通貨、ブロックチェーンなどのテクノロジーに対する法務の提供
- 「弁護士×〇〇」のダブルライセンスによる専門性の強化
- クラウド契約書レビューなどのリーガルテックサービスの展開
- ベンチャー・スタートアップ支援による0からの法務の構築
などなど「弁護士の専門性×時代のニーズ」がうまく噛み合っている土俵を見出し、社会に大きな価値を提供し続けている弁護士は存外多いと思います。
他方、法律はそう簡単に変わるものではありませんので、一定のニーズを保ち続けている分野もたくさん存在しますが、いずれにせよきちんと時代の流れに沿うことで「弁護士は稼げる」職業なのではないでしょうか。
また、お金も大事な要素ですが、弁護士の社会的信用度の高さは大きな魅力です。
品行方正かつ公正な判断を下し、社会的倫理の遵守を徹底している弁護士はあらゆる場面で強力なパートナーになり得る存在といえるでしょう。
現在司法試験の合格に向けて学習を進めている方には、太鼓判を押して「心配せず弁護士になってください!」とお伝えしたいです。
Legalgate編集部