昨年の12月からLegalgateの講師を務めさせていただいております、Kenと申します。この度、令和4年度予備試験の合格体験記の執筆を担当させていただくこととなりました。僕の勉強開始から予備試験合格までの勉強生活について、自分なりに振り返ってみようと思います。執筆活動自体初めてであり、とりとめのない内容になっているとは思いますが、温かい目で気楽に読んでいただけたら幸いです。
目次
勉強開始まで(~2021年2月)
僕は、大学時代、所属学部は法学部でしたが、体育会の運動部での活動をメインにしていたため、ほとんど法律の学習をしていませんでした。法学部時代には、自学自習をしていないことはもちろん、出席必須のゼミ1科目以外授業には全く出席しておらず、GPAも散々。定期試験に至っては、2週間前ほどから授業のまとめプリントを一通り読みながら大事そうなところに線を引いて丸暗記し、試験でそれを吐き出したら試験終了直後にはきれいさっぱり忘れるという学習スタイルでした(書いているだけで恥ずかしくなってきます…)。典型的なダメ大学生ですね。
学生生活を送っている頃には、「自分は一般企業に就職するのかな~」と漠然と思い描いていましたが、部活動に打ち込むあまり、気づいたら4年生の秋に。この頃に、「せっかく法学部にいるし、資格試験でも目指そう」という安易な気持ちで司法試験・予備試験の受験を決めたのが勉強を始めるきっかけでした。もっとも、部活動の大会もある時期だったので、勉強開始は大会が終わった後から、という風に決めました。
かなりのんびりしていることに間違いないのですが、一つの事に打ち込みたいタイプなので、「部活動は最後まで継続し、それが終わったら勉強に集中しよう。そこの切り替えはできるはずだ。」という自信だけは持っていたかなと思います。
勉強開始(2021年2月~)
2021年の2月に、アガルートの入門講義の視聴を開始しました。この入門講義は約300時間だったので、1日10時間視聴すれば1か月で終わる計算になるということで、2月中に視聴を終えました。3月に入ると、入門講義で理解できなかった分野・範囲の復習をしつつ、論文対策の口座や問題集を取り組み始めました。
この頃の学習はとにかくキツくて、理解できない・覚えられない・論文が書けないといった悩みが勉強すればするほど出てくる時期でした。テキストを覚えようとしたり、論証や答案を書き写してみたり、今考えるとかなり非効率的な勉強をしていたと思います。ただ、「非効率的な勉強を通じて自分なりに効率のいい勉強法を模索していくこと」もまた勉強なんだ、ということを気付かせてくれたいい経験だと思うようにしています。
1つよかったことは、入門講義を1か月でとりあえず1周できたことですかね。よく言われることですが、法律の学習ではとにかく早い段階で入門講義の視聴を終えて次のステップに移ることが重要なので、早期に論文式の問題集に着手できたことは評価できるかなと。
令和3年度予備短答式試験
2021年の4月に入ると、気づけば短答試験まで残り1か月程になっていました。短答はとにかく気合だろう、ということで、肢別本を平均1日1冊ペースで解いていき、4月中に7科目を4周したと思います。
5月に入ると、肢別本については4周目までで特に間違えやすかったところのみに絞って、5・6周目をこなしました。そして、試験の11日前から、毎日過去問形式(平成23年度~令和2年度)で問題演習に取り組みました。
かなり粗い勉強法ではありましたが、間違った部分の周辺知識の確認をすることは怠らないようにし、どうしても間に合いそうにない範囲については、間違った肢だけピックアップして強引に丸暗記していました。
短答式試験は、足切りさえ回避してしまえばいいものなので、物量で強引に突破してしまうのもいいかな、と思う次第です。
令和3年度の短答式試験の結果は、総合189点でした。
令和3年度論文式試験
短答式試験の自己採点でひとまずボーダーラインを超えていそうだということを確認すると、本格的に論文試験に取り組む期間に入ります。
しかし、この期間の勉強はひどいものでした。論文式問題集に取り組んでいたものの、とにかく論証や答案例を暗記することに終始してしまい、ほとんど事案に向き合って自分の頭で答案を構成していくことができていませんでした。
これは、短答式試験での物量作戦が成功した経験が仇となったものだと思います。「覚えれば何とかいける。」と思い込んで暗記に終始してしまい、事案分析力や、初見の問題への対応の仕方を確立できないまま、試験当日を迎えてしまいました。
また、実際にフルで答案を書き上げる経験をほとんどしていなかったため、この時の疲労は凄まじかったことをよく覚えています。そして、たまたま論証を覚えていた分野が出題された刑事訴訟法以外、自分が何を書いたか全く思い出せなかったです。
初めての論文式試験は、大失敗で終わりました。
結果は、総合点が200点台、順位が1200番台でした。
勉強が手につかない期間(2021年7月~10月)
論文式試験終了後、勉強のことは考えたくなかったので、とにかく大学時代の友人と遊んだり飲んだり、身体を動かしたりして過ごしていました。今にして思えば、この期間に何かしら勉強することができればよかったのですが、論文式試験の失敗故に勉強する気力もなく、他のことをして気を紛らわしていました。
勉強期間
(1)論文式試験不合格を受けて
さて、論文式試験の合格発表を受け、改めて不合格という結果を確認します。こんな自分ですが、今まで本気で臨んだ試験には落ちたことがなかったので、このときはひたすら悔しかったことを覚えています。
論文式試験に落ちたことで、予備試験に合格するには、短答の勉強を最小限に抑え、論文の勉強に注力することが大切だと考えるようになりました。そこで、今自分にどういった力が足りていないのかを客観的に分析してもらうため、Legalgate塾長の個別指導のお世話になることとしました。
個別指導では、論文答案作成における基本的な作法や、制限時間内で答案を作成するための実践的なアドバイスなどを指導していただき、いままでバラバラだった点と点が線でつながっていくように感じ、やっと論文式試験の勉強方針でこれだというものが見つかった感覚がありました。
(2)東大ロー入試
11月には、東大ロー入試の受験がありました。この段階で、個別指導を数回受講していたので、試験当日は、ひとまず指導されたことを意識しながら問題を解きました。もっとも、論文を書くことに自信を持てずにいたため、本番でも全く手ごたえを感じることはありませんでした。蓋を開けてみると、比較的余裕を持った点数で合格できていました。何より自分の悲惨なGPAで書類が通ったことに一番驚いていた記憶があります。ここで個別指導での学習効果を実感し、論文試験に少し自信が持てるようになりました。
(3)2021年12月~2022年3月
東大ローの合格後、多少の自信がついたこともあり、この時期には論文の過去問をひたすら解いて、個別指導にてフィードバックをいただいたところを修正していきつつ、自作の論証集の作成に取り組んでいました。自作の論証集の作成は、とにかく時間がかかるというデメリットはありつつも、自分なりの思考フローを確立するのに非常に有効な勉強だったと思います。
(4)2022年4月
新年度になり、東大ローに入学します。授業の予習をしたり、飲み会に参加したりしていると、なかなか試験勉強をすることができず、予備試験の勉強がほとんどできませんでした(おそらく、きちんとしている人は授業の予習・復習をこなしつつ、試験勉強もして予備試験に合格する)。
日々過ごしているうちに、毎日の通学時間や予習・復習・授業の時間を試験勉強に充てる方が効率的だという思いが募っていき、気づいたら入学して2週間後に休学していました(笑)。とにかく予備試験の合格を目標に1年間勉強していたので、法曹になるために合理的な選択かどうかということよりも、「あのとき、やりきることができなかった」という後悔がないような選択をしよう、という気持ちでしたね。
令和4年予備試験短答式試験
そうこうしているうちに、気づいたら4月も下旬になっており、急いで短答対策を開始しました。しかし、ここまでほとんど短答対策に取り組めていなかったこともあり、肢別本を何とか1周しただけで本番を迎えてしまいました。
結果は総合167点。合格ラインを割ってしまっているのではないかという点数で、自己採点したときには終わったと思いました。短答式試験の点数は水物であり、前年度に良い点数が取れたとしても、決して侮ってはいけないということを痛感しました。
短答式試験は確かに足切りさえクリアしていれば合否に影響してくることはないですが、実際に短答の点数が悪いと発表まで良好な精神状態で勉強することが難しくなるので、なるべく余裕を持った点数をとっておくことが望ましいですね…。実際、僕は短答の合格発表まで論文の勉強に手が付かない日もあり、結構メンタルがしんどかったことを覚えています。
令和4年予備試験論文式試験
(1)試験まで
短答式試験はなんとか合格していたため、いよいよ論文式試験に本腰を入れることになります。6月中には、40通フルで答案を書きました。この時には、半年間個別指導をペースメーカーにして論文試験の過去問を何通も書いてきていたので、フルで答案を書くことには慣れていました。それと同時に、論文式試験対策用の問題集である重要問題集にも取り組みました。こちらは答案構成のみでサクサクと解いていく形で進めていき、最終的には1科目分を2日で仕上げるペースでこなしていきました。
しかし、試験1週間前に微熱が出てしまい、直前期はほとんど勉強することはできませんでした(ただ、大学入試の時も試験当日熱を出していたので、ある意味慣れっこでした)。
(2)合格発表まで
試験では、公法系で軽くパニックになったり、最後の科目で問題文を読み間違えたりと、上手くいかないことばかりで、思った以上に満足いく答案を本番に書き上げることは難しかったです。また、試験後には、解答速報などが目に入ってきてしまい、自分が間違えたところが大量に発覚したときには、かなり落ち込みました。
今考えると、解答速報通りに書かなければ点数が入らないとも、自分が書いたことが間違いだとも限らないし、仮に間違いだとしても総合点が合格ラインを超えていればいいので、あまり気にする必要はないのですが、当事者としては気が気ではないですね。
合格を確認したときには、嬉しくて泣いてしまいました。
結果は、総合点が270点台、順位が200番台と可もなく不可もないものでしたが、学習開始当初の悲惨な状況を考えれば、自分としては大きな進歩だったと思います。
2回の論文試験を通して感じたことは、自分の間違いに気付けることが合格ラインに到達していることを意味するのではないか、ということです。初回と2回目の受験を比較して、明らかに2回目の方が点数はいいのですが、受験直後の感覚としては、2回目の受験の方が多くの間違いを発見しており、感触が悪かったです。これは、2回目の時の方が多くの間違いをしていたというより、実力が向上したがゆえに多くの間違いを発見することができるようになったことが原因だと感じます。初回の受験の時には、自分がどんな間違いをしたのかにも気づいておらず、結果は大失敗だったものの、結果発表まではどこかで「もしかしたら合格しているのでは?」という気持ちがありました。
試験後に自分のミスを見つけると誰でも落ち込みますが、この試験に関しては、必要以上に落ち込む必要はないのかもしれません。
令和4年口述式試験
論文式試験後、口述式試験対策をほとんどしていなかったため、論文試験合格発表後には、喜びをかみしめる間もなく、地獄の2週間を過ごすこととなりました。ひたすら民事系と刑事系の知識を瞬時に口に出して言えるように練習することは、準備期間がほとんどないことも相まって、今まで経験にない相当なストレスがかかるものでした。
ただ、口述式に関しても個別指導で本番を想定した練習をしていただいたため、本番もそこまで緊張することなく望むことができました。
最後に
このように、自分の予備試験の受験生活は波乱万丈なものでしたが、2022年11月に令和4年予備試験に最終合格することができ、塾長にお声をかけいただいてこの度、講師としてLegalgateに加入させていただきました。2023年4月現在は、Legalgate講師兼司法試験受験生として、日々忙しくしております。受講生の皆さんが、自分が失敗した経験も含め、”する必要のない苦労”をせずに合格に向かっていけるよう、全力でサポートさせていただこうと思っています。
また、講師という立場ではありますが、受講生の皆さんの姿勢にもとても刺激を受けております。これから一層ギアを上げて頑張っていく所存ですので、皆さんも一緒に合格に向けて頑張っていきましょう!